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2011年1月6日木曜日

老境の心理 反フルサト考

よく定年退職してからこんな趣味を始めたとか、畑を耕すようになったと言う人がいます。むろんそれで楽しければ良いのですが、私は今いるところで今すぐに足を止めずに精一杯楽しむことをお薦めします。

このお正月の帰省ラッシュを観ていて、ふと思ったのですがこの日本人の「フルサト」願望がもしかするとこの国を衰退に導いている一因ではないかとふと思ったのです。

父や母の手料理を食べるのは楽しみでしょう?もちろん自分が走り回った野山を子供に経験させるのもむ大いに結構です。しかし、良く考えてみてください。生活の基盤がその土地にない以上、あなたは所詮その故郷にとっての部外者なのです。

定年退職してフルサトに戻ると言う人もいます。私はてんで御免です。3日もいたら飽きてしまいます。それに今まで都心で生活していた人間にフルサトが優しいなどと思ったらとんでもありません。
そんなものじゃないはずです。

東京での暮らしも楽しめぬまま、それはどこへ行っても同じです。不平不満の中で活きているのです。世界中の国民の中でこれほどまでに「フルサト」に帰りたがる国民はいません。これって結局、毎日の不平と不満を私には優しいふるさとがある。という幻想で現状に適応できていない自分を正当化する切り札だったりして・・・・つまりは逃げ道をいつも作っていて働いている訳です。そんな仕事ぶりでは結果は何をかいわんやです。

英語にこんな諺があります。「Father make a house、Mother make a home」そうその場所が「フルサト」なのです。

Car Graphics #28 997carreraS 最終章

私的カーグラフィックスも28回を迎えます。このあたりで取り敢えず連載の最終章といたします。

後はその時々の増刊号として発信いたします。

そもそも貧しかった私の家に初めて車が来たのは小学校5年生の時です。中古の白のマツダファミリアでした。1000CCの非力な車でよくオーバーヒートしました。


その頃の私は通学の帰り道、市役所の駐車場に止まっている全ての車の名前が言えるほどになっていました。

時を経て、大学生になったころ乗りたい車は山ほどありましたが、苦学生の私の身、母の車のシビックを借りてたまに乗るのが関の山でした。



そして初めて自分で車を購入したのがホンダプレリュードです。パワステのないとてつもなくアンダーな車でした。


気に行って乗っていたのですが、義理の弟に貸したらオシャカにされてしまいました。そのおかげで義父に新車のビガーを買ってもらいました。丁度、娘が生まれた位の頃です。


そして、そのビガーも弟に貸して家の前に置いておいたら盗まれてしまいました。今度は義父のクラウンを乗る事になりました。いつかはクラウンです。このクラウンが笑っちゃうぐらいヘンテコな車でした。乗り心地をよくするためにサスを柔らかくしすぎてフニャフニャの車でした。ほんの少しの雪でもツルツルスルスルと坂を上がっていきません。内装は場末のスナックです。麻布の暗闇坂で苦労した思い出があります。



そして、初めて買った輸入車がランチャです。本当はデルタに乗りたかったのですが、長男も生まれテーマにしました。しかしこれが良く壊れました。当時は婦人服メーカーの伊太利亜さんが輸入元だったのですが、壊れて直せないとわれたときはさすがにショックでした。柿の木坂陸橋の頂上でエンジンがストールしてしまい。くそ重いハンドルをなんとかしながら降り切ったヒヤヒヤの経験もあります。


その頃より2台体制になりました。もう一台、キャンプや海にとフォードエクスプローラーを持ちました。これは壊れなかった。今はなき、目黒通りのエンパイアモータースさんで購入しました。

ランチャは壊れて仕方ありませんでしたが、その都度借りる代車がマセラッティだったり、エンパイアさんはロンドンタクシーだったり修理の期間も楽しませてもらいました。



そして、ランチャがほとんど動くことが出来ない状態になり、ボルボ850を購入しました。この車は先代のジーニーの思い出と重なります。



あるときランドローバーディッフェンダーのアニバーサリーエディションの白に大変興味を持ち、乗らずに購入してしまいました。わずか4000キロの車です。しかし、すこぶる家族の評判が悪く、子供の送り迎えに使えないとの理由からわずか3カ月で手放したことがありました。それ以来、乗ってから買うことにしています。


その後に購入したのは代車で借りていたレンジローバーです。わずか8000キロの新車同然の車を譲り受けました。この車のシートは抜群で、腰痛持ちには最適でした。乗り心地も乗用車と変わらず快適でしたが、そこはイギリス車、故障の多さは引けを取りませんでした。



ボルボの次に購入したのはBMWの5シリーズです。先々代の5シリーズのツーリングです。この車はボルボと違ってFRの乗り心地とハンドリングが秀逸でした。スモールトラブルは多かったものの直らないということはありませんでした。


レンジは距離を重ね、成田へ向かう高速でパワーウィンドのガラスが落ちてしまい、そろそろ引退です。次に購入したのはアゥディS6アバントです。正規に日本にアゥディジャパンより導入されていなかったので、セダンをディラーで試乗して、TSMで購入しました。これにブレンボのブレーキ、スポルテックのサス、30のタイヤ、ロムチューまでしてこれでもかといじくりまわしました。直線なら敵無でした。



高速でパトカーに捕まったときも時速制限ではなく、交通区分帯違反でした、もうそんな無茶はしては行けません(笑)

これだけいじくりまわすと車はどうなるか良く分かりました。道路のほんの小さな突起でもすぐパンクはするし、ブーツは壊れます。つまり車は素のままで載るのが一番との見解に達した訳であります。(ここまで随分の時間とお金を消費しましたが・・・笑)

そして妻の勧めで(はじめて妻の言うとおりにした)BMW525Msports Touringです。これは本当にイイ車です。車ってこういうものなのと納得してしまう奥深さがあります。なんとジェントルなんでしょう。



つまりは2台のBMがガレージに収まった訳です。

そして古いほうのBMを下取りに出して購入したのがG500です。この時は迷いました。でもこの私にとって今必要なのはセプとさくらのための車です。体高のあるさくらはBMでは天井に着いてしまいます。唯一、天井につかないのはこのGとハマー位です。しかし、ハマーは妻には無理という結論に達しました。確かにあの横幅はいただけません。



そして、50歳まで一切乗ってこなかったスポーツカー911カレラSです。数年前に試乗してポルシェのよさは体感しています。もちろん、ボクスターにも、ケイマンにも乗りました。カイエンもGTSを除いて全て乗りました。私にはよりGT的になった911がベストだと思います。ノーマルとSだとトルクの分厚い分、案外市街地でSの方が乗りやすかったのです。




この911がすごいのはRRにフラット6という古い設計を煮詰めに煮詰めて、進化させていくところにあります。

これはBMのストレート6とも共通しています。

車は不経済です。私とて経済学を履修したこともあり宇沢弘文氏のいう車がいかに不経済かも理解しています。

昨今の若い人は免許ほ持たない人が多いと聞きます。ましてや、車に何の興味を持たない人が多いとも聞きます。地球が温暖化し、環境に優しい生活を望むことがもちろん悪いことなどあろうはずがありません。

トヨタ自動車の社長が「市場が望む車をすぐ作れるようにEV、ハイブリッド等全ての車種を作っている」と財界の集まりで喋っていましたが、これじゃ私の欲しい車は一生生まれてこないでしょう。

マーケティングで車を作っているのです。これじゃ欲しい車は生まれませんよ。

車は憧れです。合理性や機能性で片づけられるものではありません。これだけの車に乗れた私は幸せです。壊れて冷や冷やしたことは多々ありましたがどれ一つ購入して間違っていたなどとは思ったことがありません。

ワインと車は良く似ています。頭で考えているだけでは意味がありません。飲んで己の舌と五感で感じるものです。

近頃の若者は草食系男子といわけるようです。エストステロンという物質が少なくなると男性的でなくなり、活力が失われて行くとも聞きます。

五感を刺激することはこのエストステロンの分泌を促し、若さを引き出す効果もあるようです。

燃料が爆発してピストンを動かし、クランクを回転させるそんなエンジンにしか興味がないのですから、不経済でアンチエコな男であることは間違いありませんが、プリウスが一番売れていると聞いて、あの車がカッコイイのか全く分からないのです。だって車はカッコイイから乗るんじゃないんですか??それともあれがカッコイイのでしょうか?そうだとするともう私には欲しい車などなくなってしまいます。


趣味や拘りはほんの些細な違いに喜びを見つけて楽しむ心の余裕のようなものです・・・・・・・