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2012年3月25日日曜日

小説論

ヘミングウェイをロストジェネレーションの作家ではなく彼は釣り師だと言った人がいた。

何故、彼はそんなことを言ったのだろう。

私の好きな作家はスベカラク嘘つきではない。

ヘミングウェイも開高健にしても釣りが好きでなければあんな表現は出来るはずはない。山口瞳のような食道楽でなかったらあんな洒脱な口語文は書けない。

これもビッグブラザーとリトルピープルに似ている。ヘミングウェイを酷評した人はビッグブラザーを夢見ていたのであって、小説家を型枠に嵌めたがっている。

好きこそものの上手なれ、その通り。好きで好きで調べていくうちに自分の観察眼と感情移入が始まり、文体が精緻になる。そこのどこが悪いのだ。

カジキだってマカジキ、メカジキ、バショウカジキもいればそのオスとメスもある。

知らないからそれは博物主義だというのは、知らないものの遠吠えにしか思えない。

だから私は平松洋子が大好きである。

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先程、犬友の大先輩よりメールを戴いた。私のつたないブログを読んでくれたようでヘミングウェイとフッジラルドの人気が逆転したのも世相の反映と書かれていた。

そうそう、そうなんです!!

村上春樹氏が何故、天才かと言われればそんな現代の世の中の流れ既にずっと前に予見している訳です。






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三丁目の夕日、妻は間延びしていると言っていた。脚本は確かにそう。でもね、舞台セットは飽きさせません!!

良く見てみると、森山未来君の車が4114だったり、テレビの箱がNationalだったり、良く考えています。

恐るべし、恐るべし、人は観ていないようで見ていて、見ているようで観ていないものなのですね・・・

暫くは円上塔氏に嵌りまくりの日々ですが・・・

R1グランプリと笑点

世の中ではR1グランプリやAKB48の総選挙のように出演する人が変わる仕掛けを好んでいるように見える。

一方、笑点は我が家の定番番組だが出演者はいつも同じ、定例のやりとりである。

政治の世界はどうであろう。自民党が政権を獲ろうが、民主党が獲ろうか結局後者なのである。

若手批評家で私が最も注目している人がいる。宇野常宥氏である。「リトルピープルの時代」という本を上梓した。


私が村上春樹氏をずごいと思うのは、氏のずばぬけた感性である。氏の「1Q84」に登場する「リトルピープル」はオーウェンが描いた「ビッグブラザー」の対局をなすものだからだ。それをこの世の中に感じとっている。

政治や宗教と言った思想や国家という大きな社会秩序はこのビッグブラザーによって映し出されていた。しかし、その投影する機械には対立という構図が必要だった。対立という構図が無くなった今、ひとつの正義はそれ自体存在しえないのだ。

だとすればリトルピープルに適した仕組みとは何であろうか。

国民参加型の政治とはいわばR1グランプリのように出演者を国民が交換できるようなゲーム感覚と宇野氏は言う。

氏は「日本の底力」とか「日本が駄目になる」「たちあがれ日本」などというスローガンはビッグブラザー的だと看破している。私もそう思う。確かに古臭い。

しかし、笑点を見て安心する我が家は古い政治体制の信奉者なのだろうか。そうではないであろう。

物語性からゲーム感覚に世の中が変性したとしても個人の中に物語性を回帰しえなかったら、個人はつぶれてしまうのではないだろうか・・・この点は氏と相対することになるが・・・・・・

社会ネットワーク ミルグラムの実験

FACEBOOKを始めて2日目なのに中学で一緒にバスケをしていた友達と繋がった。

連絡の取れなかったオーストラリアの先輩とも繋がった。



まあFACEBOOKの熱に踊らされぬようによくよく考えてみると、暫く前に複雑系の勉強のため何冊か読んだ本の中にSteven Strogatz「SYNC」があって、その中にミルグラムの実験という章が設けてあった。

これはネブラスカからマサチューセッツ州シャロンにいるある人物までたどり着く(直接連絡取れるのは個人的知り合い、つまり知り合いの知り合いは駄目というもの)まで何人必要かという実験だった。

結果は大方の予想(100人以上必要)とは異なり2人~10人の知り合いで可能との結果になったのだ。

つまり平均で5人つまり6次の隔たりでリンクが形成されたことになるのだ。

もちろんこの実験は全てに当てはまるものでもないし、クラスター化率を計算することもできないのだが、社会ネットワークがいかに極小でも存在出来る可能性を示したと言える。

FACEBOOKはこの特徴を表している。FACEBOOKにはFACEBOOKの可能性があると思う。一方ではブログはブログの役割があるように思うのだが。

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政治が混迷している現在、以前にも書いたが私が注目している政治家は石橋湛山である。



彼への批評は数あれど、この「雨神者」という本には公人つまり公とは何ぞやということが記されている。

この本は今は亡き恵比寿の名物本屋の主で稲穂の大学を卒業されていた大先輩のI氏より戴いたものだ。I氏は石橋湛山の孫にあたるT経済新報社の社主よりもらったものだと言っていた。

こんな大切なものを戴いたのだ、政治に関心が無いわけにはいかないのだ。