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2013年4月30日火曜日

人間観察


人間観察

街歩きの項でも書いたが私は人間観察が好きなのである。喫茶店や飲食店でまじまじと他人に見られたら相手も嫌な気分になるだろうし、下手すると変態扱いされかねない。だから、私はオープンカフェや車上から道行く人を観察するのである。

もっともこれは学生時代のアルバイトに端を発する。就職が内定してからその会社のアルバイトをした。その会社はアクロスという情報誌を発行しており毎号街角の道行く人のスナップ写真を撮り、アンケートを実施して持ち物なり、洋服なりの調査を行っていた。そこで暫くアルバイトをしたのだ。

渋谷の公園通りの交差点で、カウンターと筆記具を持って通行人を観察していた。(写真は別の社員が撮っていた)暫くして慣れてくるとあの人はどんな人でどちらの出身なのだろうとか、学生だろうかすでに就職しているのだろうか、どんな職業なのだろうかとひとりでに疑問がわいてくるようになった。さらに経験を積むとあの人は東京の出身ではないとか、学生、学生ではない程度の区別はかなりの確率で当てられるようになっていた。

もし裸の人間を観ているのだったらそんな判断は出来ない。多少なりとも身につけているものがそのヒントを指し示すことが多い。

私鉄沿線を観察した事があった。驚く事にそれぞれの沿線にはそれぞれのカラーがある。例えば田園都市線と東武東上線ではなんとなくカラーが違うのだ。JRに至っては環状線のように放射線だけではないのでこの判断は難しのだが、私鉄は比較的放射系のため分かりやすい。ところが一番分からなかったのが京浜急行である。西武線に似ているようでもあり、違うようでもある。東横線に似ているようでもあり違うようでもある。ただひとつ比較的荷物を持った人が多いような気がした。それは同線の軌条が他より広めだったと言うことに相関はあるまいか。

夢想はさておき、先日面白い事があった。これから社を興し、経営者となろうとするその若者が自分の事業の将来性、政治家との繋がりなどを雄弁に語っている時、ふとその彼の足もとに眼がいった。びしっとしたダークスーツとは似合わない明るい色のブランド物のスリップオンを履いていた。巷のファッション誌でよくコーディネイトされているその靴であるが、どう見てもその場には相応しくない。そんな違和感を抱いていたら数カ月でその会社は倒産した。

こんな事を言っている私であるが、もっと始末に負えない。人と会わないときはスニーカーにブルゾンで出社している。それも相当草臥れているもので。傍から見たらどんな職業か分かるまい。お店に行くと頭から足先まで隈なく観察される事もままある。私としてはそうした事を楽しんでいる向きもあるのだが。
そこへいくと言葉は重要だ。例え身なりで分からなくても相手の話を聞けば、その人がどんな思想を持っているのか、どんな教育を受けて来たのか大体は分かるからだ。
私が無口なのはそういう理由があるからである。沈思黙考、敢えて語らず。


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