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2013年12月30日月曜日

OVER SPEC

オーバースペック

日本の携帯電話は世界的に見れば不思議なものでその様相からガラバゴス携帯などと揶揄されています。でも、日本から出なければ特段不便なわけでもないし、利用者が困ることはありません。
ところが物の中にはそのもの単独で使うことは出来ず、全体との関連性が重視されるものがあります。そういったものをただそのものの性能を追い求めて作ってしまうと後で大変なことになります。
超大型戦艦の大和、武蔵の例は既知ですが、これはどちらかというと過剰能力というより時代錯誤的発想の愚の例ですが、同じ頃「島風」という駆逐艦が建造されました。この駆逐艦は時速40ノットを誇る当時の最速戦艦でした。ところが当時の駆逐艦の主な任務は輸送船等を護衛することが目的で結果他の船が遅いのにいくら速い能力を身につけても宝の持ち腐れとなります。また速いからといって飛行機には及ぶはずもなく、結局、1隻のみ作られただけでした。
こうした例は現在でも数多見られます。航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の候補として挙げられているF35は設計の遅れにより導入時期の遅れが心配されていますが、アメリカにはこのF35以上に高性能なF22が既に存在しているのです。ところがこの機体は同盟国にも支給されず、アメリカ軍のみ使用する特殊兵器で、すでに生産は終了してしまっています。あまりの高性能ゆえ他国に持たせることが出来ないのです。こうなると各国との連携した軍事作戦は難しくなるばかりか、自国の作戦においても使いにくくなります。国防総省によると単独F22よりもF35等と組み合わせた方がより効率が良いと口を濁していますが、要するにその機体だけ飛び抜けていて作戦立案に不具合が生じる可能性があるということでしょう。
では国会で有名になった誰かの答弁のようにナンバーワンじゃなくても良いのでしょうか。最初から2番目を目指すことはもっと困難でしょうし、そのような目標設定では科学の分野でのリノベーションは起こりません。やはり大きな進歩にナンバーワンの発想は必要なことです。
このようなジレンマを解消するのにはどうしたら良いのでしょうか。ひとつは研究開発部分と実戦投入部分を切り離して考えることです。
白洲次郎が自ら乗っていたポルシェをトヨタ自動車にポンと渡し、これを研究してみろといったのは、その車体の何が優れていて、何がソグワナイのか勉強してみろということだと思います。それを知らないのにただ売れているからという理由でモノ作りをしていても何も残らないと考えたのでしょう。そう考えると今でも日本のモノ作り、特に工業製品においてはまだ発展途上、仏像に魂はまだ入っていないと言わざるえません。






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