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2013年3月26日火曜日

おふくろの味 おにぎり 浅草 宿六


おふくろの味 おにぎり 浅草 宿六

 正確にはお袋の味ではない。お袋の作るおにぎりはもっと小さくてかたい。本人には言わないが本心で美味しいと思ったことは残念ながらなかった。

 正式にはお握りではないらしい(S谷さんから聞いた)おむすび(お結び)らしい。米と米、米と塩を結ぶからお結びと呼ぶらしい。なるほどぎゅうぎゅうこれでもかと親の敵のように握ったのではお結びならぬお握りになってしまう。

 おむすびは簡単な料理であるが美味しいおむすびは本当に難しい。昨今、変わり種を扱う店が多くなった。私の居た恵比寿でも通りの並びに、この手のものを売るはしりの店があった。手軽に済むのでつい買い求める事もあったが、さほど驚くようなことはなかった。今は姿を消してしまった。

 20年近く前にお世話になっている人に浅草に連れて行ってもらった。目黒から浅草と言うのは中々遠く、足繁く通うとなると大ごとである。

 その店は言問通りに面した小さな店だった。売り物はおにぎりのみ。この店はおにぎりと書いてあったので忠実に表現するが、中身はお結びである。カウンターにおにぎりに入れる具が並んでいる。私は迷わず塩辛を選んだ。

 熱々のご飯をさっと握り、パリパリ海苔に挟んで出される。一口噛めばお米の甘みと旨みが塩辛と混然となって得も言われぬ旨さである。熱々のご飯を口の中で冷ますためにホウホウと空気を入れると旨さが鼻に抜ける。今まで食べたどのおにぎりより美味しかった。
蜆の味噌汁も色の割に、塩っぱ過ぎず旨かった。

確か当時は夜しかやっていなかったが、今はどうなのだろう。もし昼やっているならば、おにぎりを3.4個作ってもらって上野公園で花見をしながらパクつくなんてのはどうだろう。花粉症さえなければ、恨めしい季節である。