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2013年4月24日水曜日

シマアジ 縞鰺 島鰺


シマアジ
シマアジは縞鰺とも島鰺とも書く。残念ながらこの魚の美味しさを知ったのはつい数年前である。それまで寿司屋で握られてくるこの魚の味は脂がのっているのか、淡泊なのかよく分からなかった。ただ、時折この魚特有の匂いが鼻についた事を覚えている。新鮮なはずなのにその記憶がトラウマとなって自分から進んで注文した事はなかった。
モルディブでシャークショーを観た。プロのダイバーが手から鮫に魚を与えていた。私達は岩にしがみ付いてその演目を観ていた。数年後、事故があってそのショーは中止されたようである。鮫は人間には慣れないということとか。そんな水中でよく目にしたのがもこのシマアジに似ているナンヨウカイワリという魚だ。もっとも日本近海のシマアジより大型である。モルディブの現地の人にこの魚は美味しいのかと聞くと、彼らは食べないという。後で調べたら同じ魚でも住む場所(熱帯地方)では食物連鎖の関係からか毒を持つらしい。
藻の一種類にシテガラ毒を持つものがあって、その藻が生育する海域の魚は毒を持つようになるらしい。
社会人になってまだ間もない頃、伊豆を旅行した。南伊豆のどこかの漁港だったと思うが、地元の漁船から降りて来た、真っ黒に日焼けして一目で漁師と分かるその男が岸で舫い綱を繋いでいるもう一人の男に向かって「オオカミがあがった」と言った。
オオカミが海に居るはずないし、もしやオオカミの死骸がとも思ったが、すでに日本オオカミはとっくに全滅していたのでそんなはずはないと気を取り直し、その男にオオカミとはなんぞやと聞いてみた。するとその男曰く、このあたりや伊豆諸島では特別に大きいシマアジの事を「オオカミ」と呼ぶと言うのだ。謂われは分からないとの事だった。
鎌倉での楽しみの一つは美味しい魚が食べられることである。逗子駅前の鮮魚店に姉妹店を持つ小坪の「魚佐次」は私が20年通っている贔屓の店だ。お刺身全般美味しいのだが、アジフライや鯖の文化干しも旨い。この頃は食が細くなってきたのでご飯を少なくしてもらい、その分魚を食べることにしている。
もうひとつ小坪漁港に谷鶴水産という鮮魚店がある。以前は土日しか営業をしていなかったが、数年前から平日も営業している。平日はもっぱらプロ御用達と化すが、魚の種類と新鮮さは抜群である。
そんな店で今頃の季節からシマアジが並ぶようになる。夏にかけて美味しくなる。
天然のシマアジがあれば良いのだが、ほとんどが養殖だ。私は何が何でも天然礼賛とい訳ではないので美味しければ構わない。もっとも前述したように季節や餌によって大きく食味が変わるので、外れを食べた場合には天然ものでも寿司屋の二の舞になってしまう。
江戸時代からこの魚は旨い、不味い、下品と評価が真っ二つに分かれていたと言う。
なるほど私の舌はまんざらでもなかったのかとほっとする。
ここで半身を買えばアラも付いてくる。身は刺身用のサクにしにしてもらい、アラはアラ汁にすると旨い。
今日も所用で午後から鎌倉に出掛ける。時間を見つけて谷鶴を覗いてこよう。もちろんシマアジがあれば購入する。もちろん車にはたえずクーラーボックスは持参しているから。