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2013年9月24日火曜日

極上のステーキを


この頃、さしの多い牛肉のステーキより赤身の方が好みです。この傾向はお肉に限ったことではなく、お寿司でも中トロや大トロより、赤身の方が好きですし、マグロよりも白身の魚に目がありません。

ところがこの極上の赤身の肉というのが中々手に入りづらいものなのです。色々な店で購入しましたが、筋が多かったり、肉が硬かったりと思うような肉を手に入れることが出来ませんでした。

一度、接待で銀座の「かわむら」に連れて行ってもらったことがあります。あの時の衝撃が今でも忘れられません。赤身でありながら柔らかく、そしてレアなのに血は落ちない。噛めば肉本来の旨みが凝縮し、それでいて喉越しも良くすっと胃に収まって行く。そんな素晴らしいステーキでした
2年ほど前に岐阜の潜流を再訪しました。20年ぶりの邂逅です。出されたステーキも飛騨牛のもので美味しかったのですが、私には少々脂が多すぎたと感じました。

海外のステーキ店も良く行きます。アメリカのステーキはほとんどがアンガスビーフなので赤身が多く私には合っているからです。ところが店によって焼き方が違うため食感や味も変わってくるのです。ワイキキのハイズではキァベという香木でいぶしたステーキが有名です。また、BLTは同じアンガスビーフでもカナダで育てられたビーフを使うので食感も異なり、いくぶんこちらの方が柔らかく上品かもしれません。

そんなこんなで美味しい赤身を探していたら、日本にも熟成肉のブームがやってきました。そうなのです赤身こそ熟成肉が最適なのです。そんな事を喜んでいたら、そのブームの火付け役ともいえる「中勢以」が田園調布にオープンしたのです。小石川にも同店はあってそちらではイートインもあり、店で購入したお肉を調理して食べさせてもくれるようです。

そしてやっと昨日、田園調布まで行ってきました。購入したのは外モモとシンシンと言う部位です。
シンシンというのはシンタマと呼ばれるその真ん中の部分です。この二つを食べ比べる事にしました。
ここで断っておきますが、よいステーキを焼くコツというのは良い肉を手に入れること、厚さは3センチ、ある程度の塊(300グラム以上)の肉であること。そして時間を掛けて丁寧に焼く事です。
ステーキといえどもこのあたりはフランス料理の低温調理と通ずるものがあります。
3つ星のカンテサンスの岸田シェフが作るメカジキのポアレも手間と時間を掛けて休ませながら調理していくため、肉質は柔らかく、ほのかな甘みも備えています。
肉を切り分けてもらう際、職人さんは定規で3センチになるように包丁を入れました。さらに肉を丁寧に不要な部位を取り除き正味で提供してくれるのです。そう考えると以外と安いかも知れません。
外モモは醤油との相性が良いと言う事で、みそたまりと醤油を併せた調味料を作ります。シンシンの方は軽い塩コショウです。
まず、熱したフライパンに牛脂を入れて溶かします。不要な脂をフライパンから取り除き、肉の表面にさっと焼き色をつけます。このときに肉汁が出るようでは駄目です。肉をすぐに取り出しパットの上で休ませます。このときボウルのようなもので覆いかぶせるとゆっくりと温度が下がっていくために旨みを逃しません。

200度に余熱したオープンの下段で5分焼きます。そしてまた肉を取り出してボウルを被せて休ませます。これを4回繰り返します。そして休ませた肉の表面をフライパンでもう一度温めます。
お肉を焼くだけなのですが時間にして1時間近く掛ります。でも最上のステーキになる事は間違いありません。

自画自賛ですが、皿のどこにも血が残っていません。表面は香ばしく、肉のうまみがギュぅっと詰まった素晴らしいステーキの完成です。皆さんも如何ですか?こんなに美味しく出来るなら銀座まで出掛けなくても十分です。外モモもシンシンもどちらも美味しいのですが、柔らかさ、雑身の無さ、そして香りも含めてシンシンのファンになりました。息子が無言になるときは美味しい証拠です。
そうそう、ただしこのお店カードが使えませんのでそれだけはご注意ください。いや、久々の感動した食材との出会いでした。