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2013年12月8日日曜日

判官贔屓 ボジョレーワイン

バブルの頃にはテレビでボジョレーヌーボの解禁日には世界で一番早く新酒のワインが解禁される国とあって、深夜なのにお祭り騒ぎで沸き立つ消費者をあちこちの局で取り上げていました。ところが今日ではほとんど話題にされないどころか、ボジョレーワインは味が薄くて美味しくないと放言され肩身の狭い身分となってしまった感が歪めません。あの無馬鹿騒ぎは要らないとしても判官贔屓の私としては少しだけボジョレーワインの味方をしたいと思うのです。

そもそもボジョレーワインは味の薄いワインでしょうか。半分マル、半分バツだと思うのです。ボジョレーワインの葡萄は他のブルゴーニュと違いガメイ種という葡萄を使います。この葡萄の特徴はピノ・ノワールのように長期の熟成にはあまり向かないと言われていて、よってすぐ飲めるようなあっさりしたワインが多いは事実です。ところがこのガメイ種でワインを作っているのはこのボジョレーやマコンの一部の地域に限られ、フランスでも非常に珍しい葡萄なのです。
歴史の勉強になりますが、ブルゴーニュにブルゴーニュ公爵フィリップ豪胆公という人がいて、覇権を握っていました。こういう人が権力を持つと自分の好みを万人に押し付ける傾向があります。よってワインを作る農民にガメイ種の葡萄を使ってはならんという御触れを出したのだそうです。なにせ豪胆であるから。お触れの名前はガメイ禁止令。これによってブルゴーニュのほとんどはピノ・ノワールを栽培するようになり、ガメイ種は他では作られないようになって、細々とボジョレーとマコン地区で生き延びることになったということです。
先程の半分バツのことについて補足します。つまり、ボジョレーワインでもある程度骨格のしっかりしたワインも存在するのです。ロマネ・コンティやミジュニーとは様相は異なりますが、しっかりとした風味は味が薄いなんて言わせないものです。こうしたワインは料理にも合います。ジビエや鴨肉など濃い味のものは避けるにしても、鶏肉や豚肉の料理にはこちらのほうが良いと思えることもあります。ただし、ヌーボーは駄目です。最低でも1年以上寝かせたものでなければ合いません。
もしあなたも判官贔屓ならボジョレーを是非飲んでくださいませ。それでも購入したボジョレーは飲めないと言う人はホットワインにすることをお勧め致します。これなら寒い冬の夜身体を芯から温めて幸せな気持ちになりますから。