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2014年4月17日木曜日

夏への扉

息子の本棚で見つけたロバート・A・ハイラインの同名の小説。中学生の頃だから四十年も前になる。あの頃から時空のことが気になってSF小說を読みあさっていた。
私は小心者だった。あの頃、宇宙のことを考えると怖くて眠れなくなった。そのことを誰にも言えずに布団をかぶって何も考えないようにしていた。
息子が小学生の時、数学には興味はあるのに宇宙について尋ねたことがある。彼は怖いと言った。私は納得しそれ以上聞かなかった。その彼の本棚にこの本があった。
私は時々パラレルワールドの夢を見る。現実の私がいるところが夢の世界であって。夢の中の私が現実なのだと物語は伝える。私はいつも狼狽える。
早熟だったのか中学生の頃、憧れていた女の子がいた。二歳歳上のバスケットボール部の先輩だった。その当時の2歳の差は大人と子供、何も始まるわけでもなく、時は蒸発していった。その人にはその後会ったこともない。
ところがその人が夢の中で私の妻となっている。そこには妻も息子も娘もいない。私は取り乱しさらに混乱し、夢から目覚める。
大人になっても怖いもの見たさは続いた。スティーブホーキングの本に夢中になった。訳者も好きだった。訳者佐藤勝彦氏は言わずと知れた世界的インフレーション宇宙論の第一人者である。その彼が平易な言葉でホーキングの理論を説明してくれる。
ホーキング博士が1月にブラックホールは存在しないというショッキングな論文を発表した。エネルギーや光はその地点を通り抜けて別の世界に移るというのだ。理論の正否は別として、宇宙の果てはさらに続くということになる。ただし、次元が変わってのことらしい。
もう一度「夏への扉」を読んでみよう。あの時感じたこの世界の不条理と不安、時空という道具を使って自由になれる精神的安穏。今はどう感じるのだろう。いつか孫に読ませたい。